「…ハチ、自分のことも考えてよ。あたしのことばっかりじゃなくて、自分のこと、守らなきゃ」

実際に今、こうして傷だらけになっているハチがいるのだ。

本気で、ハチが死んじゃったらどうしよう…って、考えてしまった。


「……まぁ、今回は俺も死ぬかもって思った。最後に2人に会っときたかったなって……すっげぇ思ったよ」

悲しそうに笑った。

この笑顔、あたしはあまり好きじゃない。


「行くぞ、時間がねぇ」

そうだった。こんなところで立ち止まっている場合じゃない。

ここを出なくちゃ。


再びローブのフードを深くかぶり、歩き出したイブの後を追う。ハチも、フードを深くかぶっていた。

再びコツ、コツと音が響く。急がなければ、見張りが来てしまう。


「…っ!!」


急に立ち止まったイブの背中に、ボスン、とぶつかった。カチャリと音がして、顔を上げると鎌を持ち上げるハチがいた。


いつのまに、鎌を持ってきたんだろう。

なんて、考えてる場合じゃない。そんなこと、今はどうだっていいんだ。



「なるほど、No.5が手助けをしていたのか」


薄暗い階段の上。ハチやイブとよく似たシルエットが、4つ立っている。この状況からして、仲間ではないことは確かだ。


「No.5…お前にも罰が必要だな」

来てしまったのだ。恐れていた死神たちが、あたしたち3人を殺しに…