「バーカ……っ」
ジャラッ、と鎖が擦れる音が何となく心苦しい。早く外さなきゃ、そう思っても、出来ない。
「どけ、バカ」
イブにそう言われて、手枷から手を離す。イブが手をかざすと、それはいとも簡単に外れた。
「すごっ……」
改めて、イブを凄いと思った。
「No.8、助けに来てやったぞ」
そんなこと言って、ほんとは助けに行きたくて仕方なかったくせに。素直じゃないんだから…
「あぁ、サンキュー」
傷だらけにも関わらず、立ち上がってニッと笑ったハチ。少しだけ、足取りがおぼつかない。
「海、何で来たんだよ」
急にあたしの方を向いたかと思うと、あたしが来たことを否定されるかのような言葉。
「助けたかったからに決まってるじゃん…っ」
あたしが生きているせいでハチが死ぬなんて、そんなのあたしが許さない。
ここに来るまでの間、何度"あの時死んでれば良かった"と思ったことだろう。
「バカなこと考えんなよ。」
心を読まれた。
少し怒った口調のハチ。あんまり怒らないハチが、怒ってるんだ。怒られてるのに、何だか嬉しかった。
本気で心配されてる気がして、大事にされてるんだって思えて。
「海は俺が守るって決めたんだ、死なせるわけねぇだろ」
自分を犠牲にして守ろうとしてくれたのなら、それは迷惑以外の何ものでもない。