だんだんと暗い場所に入っていく。コツ、コツとイブの足音が大きくなるのが分かった。
「……………いた」
気配を感じ取ったであろう、イブが急に足を止めた。両サイドに牢屋がたくさんある。
牢屋があるのだけれど、中に入ってる死神はほとんどいなかった。誰もいない牢屋の方が多い。
「あの牢屋の中だ…」
イブが指差した先には、暗くて何も見えない、牢屋が1つだけポツリとあった。
「ハチ…っ」
駆け寄って鉄格子に触ると、ひんやりと冷たくて、指の先が一気に冷たくなる。
ジャラ、と鎖が擦れる音が聞こえたかと思えば、顔を上げたのは紛れもなくハチだった。
「ハチ…っ……ハチ…!」
あたしの声にも反応しない。ハチの体はボロボロで、至る所に傷があった。
血がポタポタと垂れていて、苦しそうなハチの表情。
声を出さないイブも、さすがに言葉を失っているように見えた。
「なん、で……っ」
手を錠で止められているようで、身動き一つしない。ほんとに、死んでるんじゃないかと思うほどに、見ていて痛々しかった。
「この中にいると、魔力が使えない。多分、弱ってるのはそのせいだ。」
イブが小さな声でそう言った。
この牢屋にいることは、死神とっては苦痛なんだ。
「どうすればいいのっ?」
どうにかして、ハチをこの牢屋から出さなくてはならない。