「No.5だ」
イブが門の前にいた死神に、そう言った。その言葉を聞いた死神がイブに礼をする。
ギィィイと、重い鉄が擦れるような音が、辺りに響く。城の前にあった大きな門が、ゆっくりと開いた。
「そちらの者は?」
そちらの者。それはきっとあたしのことを言っているのだろう。思わず体がビクリとした。
「新入りだ。俺が担当することになった」
イブは少しも動揺していなかった。それどころか、立派な嘘までついている。
「そうですか。引き留めてしまって、申し訳ありません」
納得したようにイブの顔を見ると、あたしとイブの前からサッと避けた。
コツ、コツと、イブの靴が地面とぶつかり合う音が耳に届く。その音を頼りにイブについて行った。
No.5ともなれば、このお城に入ることなんて簡単なことなんだろう。門の前にいた死神も、心なしか引いていた。
それほど、イブが上の地位にいるということだ。
イブの力を、ハチは上回っているというのだから、そんなハチを捕まえた上の死神はそうとう強いのだろう。
イブとハチでは、到底適わない相手なのかもしれない。
それでも………適わない相手だと分かっていても、助けに行きたいと思っているあたしがいる。
あたしはただの人間。
足手まといになるのは目に見えてる。