「あたし小さい頃からずっと1人だったのっ……ハチもイブもいなくなったら、また1人になっちゃう…! お願いだから1人にしないで…!」
たった1ヶ月。
いや、まだそんなに経ってないか。
でも、一緒にいた期間はそんなに短いんだ。両親を失ってから1人でいた時間より、ハチと過ごした時間の方が圧倒的に短い。
1人でいる感覚を、完全に忘れてしまった。ハチとイブのいない生活なんて、考えられないよ。
「………No.8から言われたんだ、お前を守ってやってほしいって。No.8の頼みは断れねぇ。お前を危険な目にあわせるわけにはいかないんだ」
あたしの目を見ずに、下を向いたまま言ったイブ。ほんとは、今すぐにでも助けに行きたいんだろうな。
でも、それはあたしも同じ気持ちだから。
「ハチを助けたいの。その気持ちは、イブだって一緒でしょ? ここで待ってる方が、あたしにとっては辛いの」
イブがパッと顔を上げた。その瞳は、青色から赤色に変わっている。ハチと同じ、赤色。
「…俺から離れるんじゃねぇぞ」
何かを決意したかのようなイブの表情を見て、思わず息をのんだ。返事をする代わりに、深く頷く。
「この家から出た瞬間に、ハチがお前に張った結界が消える。当然、色んなものが見えるし、寄ってくるんだ。それでも大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
そう言うと、イブは自分が着ていたローブを脱いであたしに投げ渡した。
「それ着てろ。お前人間の匂いがする。」