ドクッ、ドクッ、ドクッ、ドクッ…
あぁ、心臓の音がうるさい。
これじゃあ、隣にいる沖田さんに聞こえてしまいそうで、意識している、と思われてしまうではないか。
そもそも、私は男の人と手を繋いだことがない。
その面で意識しているのか、と思った。
「あ、桜さん!ここです!着きましたよ♪」
「……え、あっはい!」
手に全意識が集中していたため、回りの景色や音まで意識が回らなかったみたいだ。
私たちは最近人気の甘味処に着いた。
「わぁ~、やっぱり混んでますね~」
「ですね~…」
ほんとに人気なのか、かなり混んでいて座る席がなさそう。
「まぁ、一応入ってみましょうか!」
そう言って沖田さんは、私の手を引きながら暖簾を潜り抜ける。
中に入ると、やはり混んでいた。
「いらっしゃーい!二名様ですか?」
「はい」
「でわ、こちらに」
どうやら運良く席が空いていたらしい。
席につくと流石に手を繋いだままでは可笑しいのではなした。
(緊張した~…)
ドクッドクッドクッドクッ…
まだ、心臓の騒がしさはおさまらなさそうだがとりあえず沖田さんとは距離をとれたので聞こえないだろう。