「「?」」


そんな彼の行動の意味が分からず、私達二人はお互いの顔を見合わせていた。


「クッ…そ、総司…っ…おまっえ、クッ…」


必死に笑いを堪えてる原田さんは声が震えているせいで、上手く喋れていない。


「さっさと喋って下さい。」


そんな原田さんに対して沖田さんの声は冷たい…。


「行きましょうか桜さん。どうせ左之さんの事ですからくだらないことで笑っているんですよ」


「は、はい…」


「でわ、左之さん。僕達向こうの甘味処に行ってますから、笑い終わったら来て下さい。…まぁ、一生そこで笑っていても構いませんが。笑い声があまりに鬱陶しくて誤って斬ってしまったら申し訳ありませんが…」


最後の部分は隣にいる私にしか聞こえないぐらいの小さな声だった。


だからきっと、腹を抱えて笑っている原田さんの耳には届くはずはないだろう。


…また会えることを信じてます。


そんな、憐れみの気持ちを込めた瞳で原田さんに視線を送っといた。


「じゃ、行きましょっか」


と、言って歩きだした沖田さん。


数秒遅れて「はい」とついていこうとした私は、


「………っ」


驚いた。


ほんとに一瞬の出来事で、あまりにも自然過ぎる行動だったから、頭が追い付かなかった。


(…え?)


頭が真っ白になる。何も考えられなくなる。


これって…





(手を、繋いでる…?)





手に伝わる誰かの温もり。


いや、誰かのなんか分かってる。


これは沖田さんの手の温もりだ。


私と沖田さんは手を繋いでいる。


とても、とても温かい…。


久しぶりに触れた人の温もりとはこんなにも温かいものだったのか、と思った。


しかも、触れられても全然嫌じゃない。


この前みたいに反射的に手を叩くこともしなかった。