ぐいぐい、ぐいぐい、肩を思いっきり掴み引っ張る沖田さん。


いい加減離して欲しいんですが…。


そんな私をみかねたのか、


「総司…今日はこいつの刀を買いに来たんだぞ?」


そう言って、私の頭の上にポンっと手をおく原田さん。


「………」


置かれた手が…場所が温かい…


「今日は甘味無しだ」


と、原田さんに言われた沖田さんはシュン、と肩を落とした。


と比例し、肩を掴む手の力も緩んだその隙に、するり、と沖田さんの手から逃れる。


ふぅ…と一息。も束の間、


「…桜さん、甘味食べちゃ駄目ですか?」


「………」


何故か、沖田さんの方が私なんかより身長が高いのに、上目使いされた。


しかも、袴の袖口をちょこん、と掴んでくいくいと可愛らしげに引っ張ってくる。


その姿は女の子顔負けの可愛さだ。


「桜さん…」


「っ………」


そんな、(目が少し潤んでいる)上目遣いで、袖をくいくいと引っ張り、可愛らしげに小首を傾げる沖田さんに、私はどうすることも出来ず、ただただ沖田さんと目を合わせることしか出来ない。


「桜さん…駄目ですか?」


「えっ…と……」


これ以上、この人とは目を合わせてはいけない、と思い空中に視線を泳がせた。


「桜さん……甘味…好きです」


「っ……あの…はい…」


そんなこと言われても…


「甘味…美味しいですよね?」


「…はい」


「甘味、食べたいですね?」


「………」