今は昼休み。



『ねぇ花恋ちゃん、水無月
先生って彼女いるの?』

『バレー部のマネージャー
っていいなぁ~水無月先生
とお泊まりできるじゃん!』


『ぅ、うん。』


先生と接する機会が多いから
先生のファンの子によく羨ま
しがられる。


最初は

はぁ?あんな自己中
どこがいいわけ!?


とか思ったりもしたけど
最近、嫌でもない。






退屈な授業を終えて放課後。


キュッキュッ


体育館にシューズの音と
ボールのつく音、部員の
声がが響く。


私はこの音が大好き。



『花恋ちゃん、タイムお願い』

『三分でいい?』

『うん、よろしく』


キャプテンの将くんを先頭に
アップのランニングが始まる。




うちのチームは県内でも
強い方でここ数年は
ベスト4に入る勢い。



先生が教官室から出てきた。


『『こんにちは』』
みんなが一斉に挨拶をする



因みに先生は県内で1、2
を争う強豪高出身で全国大会
にも出ていて結構有名な人。


だからバレー界の知り合いは
多いみたいで自慢話を聞かさ
れたりもする。


そのたびに
『へぇ~すごい』

と愛想を振りまきつつも
凄い人だったんだとも思う



そんな毎日充実していた私に 最悪な事態がおこる







毎日同じことの繰り返し。


ここ数日間学校に
行っていない



ずっと仲良くしてた麗と
喧嘩をしてから学校に
来るのが辛くなった。


なんで喧嘩になったか?


そんなの分からない…


被害妄想の激しい私は
まわりさえ敵に見えてくる…


『花恋ちゃん、最近体調
悪いみたいだけど大丈夫?』


時々みんなが話かけてくれる
けどどうせ他人事。




はやく家に帰りたい


今日も部活帰ろうかな…






『花恋!私今日居残りあるの
だから部活よろしくね』


里沙が私の教室にやってきた


『あ、わかった』



ぅわ~断れなかったし…
行くしかないよね



頭はズキズキ痛いし
足が前に進まない…



渋々教官室にウォッチを
取りに入る


『失礼します、バレー部
マネージャー佐藤です』


ごそごそウォッチを取って
笛を探して教官室を
出ようとしたとき







『どした?そんな顔して』

先生が話しかけてきた。


『頭痛いんです』


『大丈夫か?』


『色々悩んでるんです』


なんでこの時こんなこと
言ったんだろう…


誰かに話を聞いて
もらいたかった?

大丈夫って慰めて
もらいたかった?


『何悩むことあるんだよ』

『人生に疲れました』


また可愛いげの無いこと
を言ってしまった。


『人生って…友達関係か?』


『…………』


あれ?なんでだろう…
目の奥がツーンとして
涙が溢れてきた





一度涙が流れ出すと
次々出てきて抑えることが
出来ない…



『どーした?』

『…………』

『悪いけどちょっと外に出て』

ちょうど先生に用事で来た
生徒は教官室から出ていった。



『学校来るの辛い…』

『友だち関係か?
なんか心当たりは?』


『わかりません…
今ままで仲良かったのに』


もうひたすら泣きじゃくって
ここ数日悩んでいたことを
先生に打ち明けた








自分が思っていること
をすべて話すと


『今の時期、色々あるよな。
しかもお前女だしな』


今まで黙って聞いてくれた
先生が話し出す


『俺は男だから分からない
けど、女って難しいよな。

関係悪くなったのはきっと
なんか理由があるんだよ』


いつもうるさいなぁ
と思ってる先生の声が
妙に低く心に響いてくる


『親とかには相談してるのか?』

…………


『みんなに言いにくいなら
いつでも俺に言ってこい。

部活は辛いことなんも無い
だろ?だから部活にはきちん
と来いよ?』


こういう時優しくされると
余計に涙がとまらない…






『はい…』


『泣いたら余計頭痛くなるぞ!』


先生はいつもと違って
とても優しい目をしていた


『ありがとうございました…
失礼しました』



教官室を出ようとしたとき



『おい!涙拭いていけ
部員がビックリするだろ』


そう言って微笑みながら
ティッシュを渡してくれた



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