「えぇー!無理無理!あたし足遅いって!」
「んなの関係ないわ!ほらいくで。よーいドン」
伊純がいきなり走り出すので、つられて後を追いかける。
かばんのキーホルダーをじゃらじゃらさせながら伊純が叫んだ。
「負けた方は帰りアイスおごりなー!」
「ちょっ!聞いてないしー!」
あたしも走りながら叫ぶ。
「嫌やー!うち今めっちゃ暑いねん!冷却せなあかんわー!」
「なんじゃそりゃー!」
なんだか楽しくなってマジで伊純を追いかける。
「はぁっ、はぁっ、伊純速いよ」
「きゃははは!うちの勝ちや!39円アイスで許したる」
結局伊純に追いつけないまま、チャリ置き場に到着。
…なのに。
「あーっ、チャリ鍵応援席に忘れてもーた!」
なんて伊純が言い出した。
「しゃーない、戻るか…。凛は待っててええよ!」
「いや、行くよ。1人で待ってんのもつまんないしさ。そのかわりアイスはチャラで」
「なんやそれッ。まあ、ええけどな!」
ってことで2人で来た道を引き返す。