「えっ…あ、はい!!」 「どしたん?ぼーっとして」 空木のことを考えてた、って言えたらどんなにいいだろう。 …言えるわけがない。 「ちょっと寝不足なのかも」 低血圧なんだ、と言って笑って見せる。 転校してからどんどん上手くなる嘘と愛想笑い。 肝心な本音は、いつも偽物の笑顔の裏で必死に小さくなる。 そんな自分にうんざりするけど、空木との関係を維持するためにはこれが一番だと思う。