空木が見えなくなるまで、あたしは手を振りつづけた。 角を曲がるとき、空木があたしを振り返った。 まだ見送ってたあたしを見てびっくりしたのか、一瞬影が止まった。 そして、またさっきのように左手を挙げて、見えなくなった。 (…何だか、淋しい) ずっと近くにいてくれてたからだろうか。 「あたし…幸せ者だぁ」 そんな独り言をつぶやき、玄関へと入った。