「…まぁ、一応」



なんで言葉を濁したのか分からない。


でもいるということは、やっぱり否定しなかったのだ。

照れ隠しにあいまいなことを言うのか。

それともうまくいっていないのか。


そんなことはどーだってよかった。


「そ…か」


自分から聞いといたくせに。

すごくすごく、息苦しい。

その場に立っていることさえツライ。


「それじゃ、あたし帰る…。空木も部活がんばって」


ほらまた。

好きって言えないまま別れる。


空木を目の前にした途端、素直から遠ざかる。

いつだってそうだった。



もやもやした、息苦しい気持ちのまま、空木に背を向けて早足で帰った。