「神様、すてきな方よね」


紗和先生は自分もイスに座ってコーヒーをすすった。


「どう?こっちの世界は」


まっすぐにあたしをみて、穏やかな優しい笑みで問いかけた。


「すごく楽しくて…だけど、すごく辛い。知らなければよかった事もあった…」

「…そっかぁ」


紗和先生はふたたび右側の髪を耳にかけた。


あたしは自分と同じ体験をしてる人を目前にして緊張してしまい、のどがカラカラだった。

コーヒーを一口飲んだ。

…前の世界の紗和先生のコーヒーより、今のコーヒーのほうが甘かった。


「佐々木さん、ほんとは何年生なの?」

「えっと中3です。中3の誕生日にあたし北海道に転校してるんです。」


「…ふーん、それでねぇ…」


紗和先生はしみじみと言った。