「それ、娘なのよ。」


突如紗和先生の声がしてびくっと肩をふるわせる。

目線を下にずらすと、紗和先生がむくりと起き上がって目をこすっていた。


「来てたの、気づかなくてごめんなさいね。」

「あっ…いえいえ!あたしこそ、勝手に写真見ちゃってごめんなさい!」


焦って紗和先生に写真を返す。

紗和先生は微かに微笑んでそれをうけとり、穏やかな目つきで眺めた。


「娘…実はもういないんだ」



え?



紗和先生の言葉に体のすべてが止まるような感覚に陥る。


いない…?

亡くなったってこと?