癖で、長く伸びた左手の爪を右腕に食い込ませる。


痛さで余計に涙がにじんだ。


あたしが返事をしないままでいると、もう一度大きなため息が聞こえて足音が遠ざかっていった。




――…ばたん。


玄関のドアが閉まる。



ゆっくりと起きあがって右腕を見ると、三日月型に三つ跡がついていた。



「……っ…う…」



もう、やだ。





こんな世界で生きていくのなんか、嫌だよ。



神様。