「三人ともありがとう。今日は本当に楽しかった」

帰りの車の中で、詩野が言った。


「良かったね詩野ちゃん。最後に歌えて」

「うん!本当ありがとう浩二くん!いくら感謝しても足りないくらい」

「あの、俺も一応頑張ったんですけど」

「わかってる。大輔もありがとう」



「まぁどっかの誰かさんは、ナンパと勘違いしてたらしいけど?」


変わりそうな信号を気にしながら、

浩二が僕の方をチラチラと見た。



「悪かったな」


「でも浩二の奴、ほんとは最初はりきって、高校生くらいの女の子ナン……」

「馬鹿!大輔!お前それ…」


「あれれ?浩二くん、卒業したんじゃなかったのかね?」


僕は勝ち誇ると同時に、
嫌味ったらしく浩二に反撃した。



「いや、その、大輔がどうしてもって言うから」

「お前、人のせいかよ!卑怯だぞ!」


「だってあの時はお前が!」

「だってもクソもあるか!先陣きったの浩二じゃん!」

「だからそれは小心者のお前が俺に…」



「浩二くん、私まだ死にたくないの。運転に集中してくれる?」


大輔との口論に夢中になる浩二に、

詩野もまた、嫌味っぽく言った。




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