「各務くん、私、じ…実はね…」
「な、なに?」
「実は…」
詩野が深刻な顔つきで、僕を見た。
「ううん。ごめん、なんでもないわ」
………。
「おーい!」
「浩二!?」
「ごめんごめん。思ったより意外と時間かかっちゃって」
全力で走ってきた浩二が、
膝に手を当てながら僕らに言った。
「それで?ナンパはうまくいった?」
「ナンパ?」
「そうだよ。女の子を調達しに行ったんでしょ?」
「馬鹿だな、ナンパは成功しないから去年卒業したぜ?」
「そうなの?じゃあ何?」
「あれだよ」
そう言って浩二が指差した先には、
大輔と、その後ろに十人くらいの見覚えのない人たちがいた。
「誰?あの人たち?」
詩野が首をかしげながら浩二に尋ねた。
浩二が息を整えてから、詩野を見て微笑む。
「お客さんだよ」
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