「不安でたまらない時、先が真っ暗でどうしようもない時、いつもお前が励ましてくれたってよ」
「別に励ましてなんか…」
「きっと何気ない一言が詩野ちゃんには勇気になったんだ」
「………」
「『毎日私の歌聴いてくれて、褒めてくれて、各務くんのおかげでここまで来れた。すごく感謝してる』って嬉しそうだった」
そこまで思ってくれてたなんて…
「お前には礼を何度言っても足りないってよ。昨日だって、お前が詩野ちゃんを守ったんだ」
………。
「僕、ちゃんと守れたかな?」
「今の話で答えは出てるじゃねーか。好きなんだろ?詩野ちゃんが」
なんでだろう…
涙が出そうだ。
「とにかく自信持てよ。な?んじゃ俺行くわ」
浩二の優しさなのか、
僕が顔をそらしていることには何も触れず、静かに病室を去った。
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