詩野がオーディションの日時を教えてくれた日からの三ヶ月は、
あっという間に過ぎて行った。
僕らが出逢ってからの、ゆっくりと進んだ二ヶ月が嘘のようだ。
僕と浩二と大輔は、
あれからも、時間が許す限り、詩野の歌を聴きに公園に足を運び、
ジュースなどの差し入れをしたり、歌の録音を手伝ったり。
時には、あの日のように“調達”したこともあった。
その度に、浩二や大輔は礼を言ってくれたし、
詩野も笑顔で「ありがとう」と言ってくれた。
でも、感謝するのは僕の方だ。
大輔は学校が始まってからも嫌な顔ひとつせず来てくれたし、
浩二は、バイトやら女やらで忙しい時も、
僕の無理なお願いを聞いてくれた。
二人とも詩野のために、本気になって応援してくれてるのが実感できて、
本当に胸がいっぱいだった。
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