「そうだね、頑張って!応援するよ!」


僕がそう言うと、浩二も笑顔で頷いた。



詩野が荷物を抱えながら、

「今日は疲れたし、私はこれで」


笑顔で僕らに手を振りながら公園をあとにした。


「あ、じゃあ俺も!」


そう言うと大輔は、小走りで詩野を追い掛けるように出口へと向かった…



詩野は二人が見えなくなったのを確認すると、

同時に追い付いてきた大輔に向かって、静かに言った。



「どうして各務くんが知ってるの?」

「え?」

「とぼけないで。私にだってわかるわ」


詩野の表情は、その優しい声とは裏腹に、

大分怒っているようだった。


「さっき、オーディションのこと何かと勘違いしてたみたいだけど、病気のことなんでしょ!?」

徐々に詩野の声が荒くなる。


「……ごめん。俺達が前に居酒屋で話してたのが、一軌にも聞こえてたらしい」



それから、何も言わず詩野は俯き、

わざと大きめにコツコツと足音を立てて、夜道を歩いた。





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