「とにかく、今から俺もそっち行くからちょっと待ってろ」

「わかった…」



僕は一旦、荷物のある場所に戻り浩二を待った。


またバッグを枕にして、目を閉じる。



微かに聞こえる詩野の声と、風に揺れる木葉が良いハーモニーとなって、

僕の耳にそっと語りかけた。




“私は一人じゃない。きっと誰かが傍にいる”


その歌詞は、

先生にもらった言葉と同じものだった。




人間は一人では生きていけない弱い生き物なんだ。


誰かに助けられて、励まされて、

見守られて生きていく。



僕はいつも詩野に助けられていた。

詩野の歌に励まされた。

浩二や大輔にもいつも支えられっぱなしで、

僕は何も恩返しできていない。




変わらなきゃ。自分のためにも。




そして、みんなのためにも。




僕が立ち上がると、

噴水の前でキョロキョロと辺りを見回す浩二がいた。


僕は、荷物を持って、浩二のもとへ急いだ。




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