新千歳空港から、十一時の便で東京に向かう。
やはりこの時期、田舎に帰る人が多く、
東京行きの飛行機は空席が目立った。
家に着いたのは、午後の二時過ぎくらいだったが、
玄関のドアを開けようとした時、
僕は、ある重大なことに気がついた。
しまった。
鍵を忘れてしまった。
高校生の頃、うっかり鍵を失くしてしまったことがあり、
それ以来僕は、鍵を持ち歩くのをやめた。
普段なら、ポストの横の植木鉢に隠してあるのだが、
北海道に行く間、家は誰もいなく、当分留守になるので、
鍵は母さんが全部預かっていた。
これじゃ家に入ることはできない。
どこか鍵を閉め忘れてる窓がないか、
必死に探したが、家族揃って神経質な僕らが、
そんなミスするはずがなかった。
僕は仕方なく浩二に電話をかけた。
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