「――――…れ。金を、くれ……」
ひとり、裸足の女が蛇行していた。
「なんでもするよ…。なんでも言うこと聞くよ…。だから、金をくれ…――――――」
全身が痩せ細り、頬にはすすがついている。
瞳は黒ずんで、光が差し込む余地がない。
しばらくすると、路地裏から手招きする男と目が合った。
「あんた…、金を……くれるんかい?」
すると、男は懐から黄金の小判を二枚差し出した。
「ああ…――――。あんたは…、何が………望みだい?」
男は口角を異様に吊り上げ、お前の身体だと言った。
「好きにしな……」
そういうと、女は地面に仰向けになって寝た。
微かに開いていた瞳が瞼に隠れると、全身に気味の悪い熱と体重が女の身体を襲った。
「………」
しかし女は何も言わず、まるで死んでしまったかのように目を閉じていた。