しかし、豆吉はこのように、時々その山賊女をやたらと気に掛ける時があった。



心配されるのは嬉しいことだが、何分、この頭の性格である。


何よりも心配されることを嫌っていた。


それは彼女にとって己の弱さを出していると感じていたからだ。




頭はわざとらしく大きく肩で息を吐いた。




「……怒りはしねぇさ。けどよ、心配すんな。俺は<鷹>の頭だし、何よりも源九郎の子だぜ?絶対に<鷹>を見捨てたりはしない」



「姉貴……」



その言葉を信じたのか、豆吉は優しく頷くと先の方で待っていた手下たちの群に紛れていった。



山賊女はその群れが小さくなるのを確認してから、歩き出した。



―――――腑に落ちない。




どうもここ最近の豆吉の視線は自分を山賊の頭と見ているとは到底思えない。


表現はできないが、また何か別の感情が入り混じっているようだった。




頭が堅い表情で悩んでいると、腕の中にいた赤子が鳴いた。



「悪いな、待たせちまった…」



山賊女は優しく微笑んだ。



そうだ。

今はこの腕の中の子を優先させなければならない。




いつしか脚は森の中に入っていた。



この森であれば、山賊女にとって庭のようなものだ。


たとえ薄暗くとも、多少の位置は把握できるだろう。