「――ちょっ!何してんだよ!」
「愛情表現だ」
「愛情?さっき会ったばかりの奴がいきなり相手に愛情を持てるかよ!」
「ふっ、俺ならば容易い」
「ふざけんな、離せっ!」
そんなやりとりを微笑ましく見ていた小十郎は心の中で思う。
―――――どうも“さっき”の言葉が気に掛かる。
伊達政宗は先代の中でも別段の美しさを誇っているらしい。
それを知ってか知らずか政宗は女をよく侍らせていた。
気に入った女はすぐに口付けし、寄ってきた女も構わず抱いていた。
それはいつもの如くがゆえ、今回もそんなところだろうと政宗がいなくなった時、米沢城の小十郎を含めた家臣たちはそう考えていた。
ここで、政宗の名誉のために言っておくが、彼が信頼されていないわけではない。
政宗の家臣たちはより彼を理解している。
何故そこまで無差別に女を侍らせるのかは、この家の者ならだいたいは知っていた。
それはまた後で記述する。
というわけで、みなそれなりに失踪した政宗を探索はしていた。
そして、政宗が帰ってきた――――女を連れて。
彼らが驚いたのはそこである。