壁にもたれながら雑誌を捲る。

占い特集は後に置いておこう。
ワタシはお楽しみは最後に残す派だ。
弁当だって好きなオカズは最後に食べる。

やっぱりお楽しみ、っていうぐらいだから最後に、ね。

「ふむ…占い特集しか目に入っていなかったが…どうやら普通の情報誌の様だな」

美味しいお店、デートスポット、お洒落なブランドの最新作…等々。

実に当たり障りの無い、言うならホントに無害な情報誌だった。
まぁ…話のネタぐらいにはなるかな…

「ブランドの話とかしても…零は興味示さないだろうけど」

苦笑いしながら、この雑誌を見る零を想像する。

デートスポットより心霊スポットの方が喜ぶ彼女だ。
普通の雑誌なんか、鼻で笑うに違いない。

「フフフ…それでこそ実に彼女らしい。むしろ…」

ねぇねぇ、命!今度の休み、ココ行こ?

…と言いながらデートスポットを指す零……怖い。
想像だけで鳥肌が立つ。
実に似合わぬ光景となろう。

「…うん。やっぱり女性として間違っている方が、彼女にはお似合いだな」

実に失礼な事を考えていた。

…そんな時、目の前に人の気配がした。
零が来たのだろうか?

顔を上げ、目の前を見た。