「占いっていうのはね、簡単にいえば『最良の道標』なんだ」
「最良の道標?」
「占いを信じたのに良いことがなかった。それはね、その道が最も悪くなかったからなのさ」

最高ではなく、
最悪でもなく、
最良としての道。

「Aのルートでは女の子の通り魔に惨殺。Bのルートではトラックにはねられ植物人間。Cのルートでは犬の糞を踏んじゃった。さぁ、アンタはどれを選ぶ?」

…答えるまでも無い。

確かに、犬の糞を踏んだ事を単体で考えるなら、ソレは不幸な出来事だ。ついてない。

しかし、他にもパラレル的な道が存在したなら、ソレはついているのだろう。

ウンコもついている事だし……。

「今、ウンがツいているだとか、下らない事考えただろ?」
「い、いやだな!?ワタシがそんな事考えるワケないじゃないか…」

ハァ…とタメ息混じりに、とにかくだ、と続けた。

「ホントの占いってのは最良の道標なんだよ。近くで見たら外れたかもしれないけど、遠くから見たらソレ以外無い選択肢なんだ」

おそらく、『近く』が現在の本人の視点であり、『遠く』が神様的な視点なのだろう。

ワタシは彼女の話に興味を持ち、詳しく聞く事にした。