「いいのかい?助けなくて。君の友人の教え子ってことは、他人の不幸ではないだろ?」
「構わないさ。アタシが見た感じ、不幸と判断するほど不幸と呼べなかったから。それに……」

アタシは他人に優しくする気はないね、と言い切った。

何が気に入らなかったのか、不幸な教え子を完全に他人と呼ぶ。

斎藤六は、彼女の友人の友人だ。
そんな六をワタシに頼んでまで救ってあげたならば、その教え子も似た様なものじゃないのか?

友人の教え子も他人として突き放さず、救ってあげるのかと思ったが…

きっと彼女は救えたとしても、救う気はさらさら無いみたいだな。

「解った解った。とりあえず会えばいいんだろ?いつ、どこに行けばいいんだ?」
「そうだな…休日だから昼一時に、九十九市駅前でどうかな?」
「ワタシは構わないよ」
「よし決定!じゃ遅れるなよ?」

プッ。
用件を告げるとさっさと切る。
相変わらず電話が嫌いらしい。

さて、折角の休みも潰れたし…
少し早いけど、明日に備えて寝るか。

まぁ零は、ワタシが遅刻したら機嫌が悪くなるし…

はぁ…なんだか…気が重いな……