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『鬼零』

「……もしもし?」
「よーぅ、久しぶり…でもないか?」
「ついこの間、会ったばっかりですよ」
「そうかそうか…で話しがあるんだが…」

嫌な予感は全開になる。
予想に予測に予知、全てが警告を発していた。

関わるな。
関わるな。
関わるな。

そう告げていた。

「…おーい、聞いてるかーぃ?」
「えぇ、聞いてます聴こえてますよ。なんですか?」

警告を無視する。
今更彼女に関わり嫌な目にあったって後悔はしない。

引金を引いた時に…
彼女が何を起こすのか、
ワタシはこの目で見てみたいから。
ワタシは彼女の隣で見てみたいから。

だから巻き込まれよう。

「アタシのツレでな、教師をしているんだが…教え子が自称不幸な少女、らしい。助けてあげてくれと頼まれた」
「成程。解りました、助ければ…」
「いや、違う」

ワタシの言葉を遮り、彼女は冷淡な声で言った。

「助けなくていい。ただ会って不幸かどうか確認するだけでいいよ」

助けてなくていい…
彼女がまさか、友人の繋がりで、そんな事を言うなんて思いもしなかった…

冷酷な彼女の一面を、ワタシはこの時初めて見た。