「さて―…」

二人振り向く。

「アタシ達はこれで帰るとするよ。今日のところは自己紹介だけだね」
「もう帰るのかい?一体何しに集まったんだか…」

先生の言うこともごもっともだ。
結局のところ、ホントに自己紹介しかしていないじゃん…

「まぁロリコン変質者だっていう誤解を解いておきたいからね。自分の未来がかかっているヤツが、ロリコンで変質者だなんてヤだろ?」
「ソレはイヤだね」

私の代わりに先生が答える。
私は先程から無言で私を…いや、私の方向にあるナニかを見つめていた須佐野さんが怖くて黙っていた。

私を見ているかと思っていたが…焦点が合っていない…。
私の背後を、丸で私の奥深くを見るかの様に…

「だから今日はコレで終わりッ!また後日にコイツを送るよ。アンタもそれでいいだろ、命?」
「……え?あ、あぁワタシは構わないよ…」

私から…私のナニかから目を反らし、見え見えの空返事をする。

こんなので大丈夫なのかな…

「じゃあね美雷に不幸少女。また会いましょう」

バイバイ、と手を振り二人は去って行った。

「結局何もしないまま行ってしまったな…」

先生の呟きが、都会の駅前の喧騒に吸い込まれていった…