「さ、時間が勿体無いからさっさと行こうか。私の僅かな僅かな休日なんだからね」

ケロッと落ち込みから復活し、パンパン手を叩き私を急かす。
一体何処に連れてってくれるのやら…

「取り敢えず…隣町、九十九市まで行こうか。電車でね」

取り敢えず…
行き先も決めずに遊び歩くんだろうか?

「一体何するつもりなんですか?」
「ん?まぁ行きながら話すよ。立ち止まってるのも勿体無いからね」

駅まで歩きながら話す。

どうやら遊ぶのは建前で、この前の篠森さんから連絡があったらしい。

「一応連絡してみたら、彼は構わないだってさ。明日休日だから九十九市で待ち合わせする予定」
「そうか。ありがとね零。じゃ今から不幸な可愛い教え子に教えてあげますか」

…と、酒の席での出来事らしい。
でも、とゆーことは…

「篠森さんもいるんですか…?」
「あぁ、ちゃんといるよ。何?嫌なのか?」
「いや、イヤじゃないんですけど…」

なんか苦手です、とは言えない。
間接的とはいえ、私の救世主となるかもしれない人なんだから。

慕い敬う理由は有れど、毛嫌いする理由は無い…と思う。

色々と話してると、心の準備も完了せぬ間に九十九市に着いた。