ただの不幸…
私の人生で一番言われていない不幸の呼ばれ方だった。

究極の不幸。
スーパー不幸。
最低な幸運。
最凶の幸運。
万人に一人の不幸。

色々言われ続けてきたが…

ただの不幸。
これ程軽く言われた事は無かった。

「た…ただの不幸…?」
「そ。ただの不幸。悪霊が陰気をばら撒いているワケでもなし、祟りや呪いにかかっているワケでもない。こりゃアタシもビックリしたけど、ホントにただの不幸だよ。だからこそ、永遠に救いようが無い」

私は絶望した。
私の今までの不幸は、ただの不幸。
救いようが無く、
報われる術無く。

人より突出して不幸であることが私の救いだった。

不幸であるからこそ、不幸の性に出来た。

それが…
ただの不幸。
みんながみんな、体験する極些細なただの不幸。

永遠に終わらぬ、ただの不幸。

その時、いつもなら隣で大笑いしているハズの仄が、彼女に言った。

…半泣きで、懇願していた。

「どうにかならないんですかッ!?ユキは…ユキは不幸で…不幸のままで一生過ごさなきゃならないんですかッ!?」

なんで仄が泣くんだよ…
泣きたいのは私だよ…

なんで私は泣けないんだよ…