「奇跡の体現者…ねぇ。随分不吉な聖者だね」
「アレは奇跡としか言えないよ、実際」
「まぁ…悪霊や祟り、呪いに儀式、なんでもオマカセなアタシだけどね……」

彼女はなんとも言えない顔をして言った。
正直、篠森零に無理と言われれば、もう不可能を意味する。

庵樂幸菜が幸せになるのが…永遠に不可能に。

「不運で不吉な不幸少女…か。まぁ憑き物の類かどうかを視ないと話にならないね」
「そりゃそうか…。いくら零が凄いチカラを持ってても、本人見てみなきゃ解らないか」
「まぁ今日はオフだからね、一日中付き合ってやるから。放課後まで待とうか?」

うーん…
流石に放課後まで待って貰うのも悪いしなぁ…
かと言って授業中に庵樂連れてくるのも庵樂に悪いし…

授業中……?

「…って授業忘れてたッ!!」


時計を見ると20分以上過ぎていた。
先生が遅刻するなんて…こりゃハゲ教頭に怒られるね…

「あー、とりあえず昼休憩に庵樂幸菜を連れてくるからさ、どこかで待っててくれないか?」
「……ん?あぁ、構わないよ。適当に時間潰しておくよ」

ボーッと職員室の後ろのドアを眺めていた零に告げると、私は職員室を出た。