ワタシの言葉を聞くと、彼は笑いながら叩いた。

「六を幸せにする守護霊だ。悪霊だなんて失礼だぞ?」

笑顔。
あぁ、この笑顔の為にワタシはこのチカラを使い続けよう。
幸せな笑顔の為に。
笑顔を見て幸せになる為に。

「それじゃあな、また会おう」
「今度はワタシを助けて下さいね」

任せろ、と彼は言って。
任せます、とワタシは言った。

コレが最後のやりとりだった。



◆ ◇ ◆



気が付くとベッドの上。
えーと…何処?

「目が覚めたみたいですね」

横を振り向く。
男が添い寝していた。
えーと…六さん?

「うぉあッ!?」
「あ…そんなに急に動くと…」

慌てて立ち上がると眩暈。
グラァリ視界が揺れ、二日酔いの様に気分が悪い。

「うげぇ……」
「ほらね。二日間丸々寝ていたんだから」

吐きそうになり口を押さえて再びベッドへ。
再び横に斎藤六。
だけどもう立ち上がる気力は無い……

「二日間も…?」
「えぇ。50時間は寝てましたよ。ウンウン唸って可哀想でした」

ベッドの脇には水桶とタオルが。きっと寝汗を拭いてくれたのだろう。
いや…零にされるのも恥ずかしいんだが…男にされるのもイヤだな……