「早く祓わないと取り憑かれるぞー」
「呑気に見てないで助けて下さいよ!ワタシはホントに祓うチカラは無いんですから!」

次から次へ、黒い平面体は落ちてくる。
取り憑かれるのは時間の問題だった。

「本当に祓えないんだ?全く…何しに来たんだよ、君は」

バッと腕を振り上げる。
手にはいつの間にか扇子を持っていた。
それで文字通り、彼は悪霊達を薙払った。

無風のカゼが、悪霊を吹き飛ばして消し去っていった。

着物で扇子を振る姿は、まるで舞を見ている様で。
引き寄せられる魅力がソコにあった。

「やっぱり守護霊ってのは凄いモノですね」
「まぁコレくらいのモノなら俺にでもなんとかなるよ。なんとかならないモノもいるから困るんだ」

パチンと扇子をしまう。

やはり彼なら斎藤六の中身を詳しく知っている。
彼に訊くのが一番早いな…

「陸奥さん、六さんの根源の場所を教えてくれませんか?」

ソコに不幸の中核がある。
それさえ除去出来れば、彼の不幸もマシになるだろう。

業火の中に火種がある様に、火種が業火になる様に。
不幸も元からスッパリ断たなきゃダメだから、ね。