「須佐野さん、俺は別に自分が不幸だなんて思ってませんよ。昔からなんで慣れてますから」

投げやりに彼が言った。
ワタシも零も真剣に聞く。

「ただね、俺の『チカラに取り憑かれる』という現象の性で、大切な人が傷付くのがイヤなんですよ…だから…」

上っ面のお願いではなく、内面深く心から、彼はワタシを求めた。

「だから…俺の不幸を取り除いてください」

そこに今までの軽薄な青年の姿は無く、真剣に、辛辣に、心底に…
彼はワタシに救いを求めた。

「命…無理かな…?」
「ワタシは救いを求めるモノを拒絶したりしないよ」

正直不安だった。
不幸とは少し違う様な気がする…
だけど……

救える不幸なら救いの手を。さまよう人生なら導きの手を。

そう決めたんだ。
あの日…妹と別れたあの時に…

「いいのか命?」
「無理矢理拉致しといて言う台詞かい?ワタシは構わないよ」

それを聞くと、二人共安心した様だった。

「ありがとうございます」
「すまないね」
「お礼は成功してから言っておくれ。必ず成功するとは限らないからね」

実際成功するか微妙だな…だけどやりますか。



さて、それでは…

「不幸な貴方を救いましょう」