異様なチカラ、
奇妙なチカラ、
不吉なチカラ、
不可解で異質で普通でないチカラ。

そんなチカラを持った人々を、一般の人達は如何に扱うか?

奇跡だ、と崇め、
奇跡だ、と避け、
奇跡か、と疑う。

疑いは研究欲を駆り立てる。
人は理解出来ないモノを理解したがる生物だ。

だから我々、異様なチカラを持つ者は研究対象として捕獲されるか、世間から完全に隔離されるのだ。

それこそ正に…
魔女狩りの魔女の様に。

そこに人権は無く、
生殺与奪、モノとしての存在。

いつの時代も変わらない。

「予知通りなら…研究対象か或いは金持ちの道楽生物だな」
「不幸だろ?正真正銘の不幸だろ?助けてやってくれ」

彼女が頭を下げる。
彼女ではどうにもならなかった存在。
彼女では救えなかった同族の不幸。

「おいおい…篠森さん、俺の為に頭下げないでくれよ」

いつのまにか横で立っていた斎藤六が言った。

私服に着替えた彼は、普通の…極々普通の青年だった。

「はじめまして、須佐野命です。貴方を救いに来ました」
「どーも、はじめまして。斎藤六です。救いに来ましたって…怪しいですね」

挨拶を済ますと、彼は零の隣席に座った。