彼女は困った顔をして悩んだ。
恐らくは説明したいのだが、上手く説明出来ないのだろう。
なんせ神や悪魔、存在するかどうかも不明確。

「よし、言い方が悪かったな。神や悪魔と言うよりは…奇跡の媒体、と言うべきだろう」

尚更解らない。
単純に神や悪魔と言われた方が、まだ理解出来る。

「例えば…電球が光る、コレを奇跡としよう」
「随分と安っぽい奇跡だね?」
「黙れ。そして聞け」

大人しく聞こう……。

「光るのは何故か?簡単だ、電球に電気が流れるから、だ。光を奇跡、電球を斎藤六、電気が霊体、であると」
「ふむ、少しだけ理解出来たよ」


電球だけでは光らない。
電気だけでは光らない。
合わさって奇跡は光る。

「実に難儀な話だね。奇跡の媒体が神や悪魔で、神や悪魔の媒体がその青年なんて」
「実に難儀で厄介だよ」

だけど……

「ますます解らないな。なら尚更、ワタシは無力だと思うんだが?」

不幸を払い、不幸を喰らう。
ソレがワタシのチカラだ。

ソレ以上でもソレ以下でもない。

神や悪魔はワタシには祓えない。

「だから言ったろ?不幸体質って。それから…」

行けば解る、と。
唇が動いた時既に、車が動きだした。