「命、アンタはさぁ、幽霊や守護霊、つまりは眼に写らないモノを信じるかい?」
「幽霊ですか?まぁ自分では見たことも感じたことも無いので、なんとも言えませんねぇ…」

唐突な質問。
まぁ依頼の話だから、無意味な話では無いのだろう。

「まぁ信じる信じないはアンタの自由だ。問題はね…」

一呼吸置いて、彼女は言い切った。

「信じようが信じまいが、アイツにはナニかが憑いているんだ。一般には見えないナニかが、ね」

信じようが信じまいが、か。
全てを視ることが出来る彼女が言うんだ、間違い無いだろうな。

「成程ね。大体は理解出来た、が、除霊はワタシの分野じゃないんだが?」
「ただの悪霊ならアンタの仕事じゃないのは解ってるよ。コレはね、『不幸な体質』なんだよ」

不幸な…体質?

「アイツ…斎藤六はね、守護霊、幽霊、悪霊、精霊、果ては神や悪魔なんかも寄せて憑ける、不幸体質なんだよ」
「神や悪魔ァ?」

胡散臭さ、此処に極まれり。
霊は信じる事が出来るが…神や悪魔なら話は別だ。
宗教的な概念でしかない存在を、宗教信じて無いワタシが信じれるワケがない。

「信じられねぇ、って顔だな」
「信じられねぇ、って顔ですよ」