「…まぁいい。アンタが不幸なのは色々知ってるからね」

ジュッ…と煙草を灰皿に押し付ける。
そして目を見つめ、続けた。

「はっきり言って異常だよ。なんか不幸と言うより、呪われてるとしか思えないね。ホラ、悪霊とかに憑かれてる、とか?」

両手を前に垂らし、幽霊のマネをしながら言われた。

「こ…怖い事言わないでくださいよぅ…」
「後ろに血まみれの女がいる!」
「……ッ!?」

ビシッと指を差され、慌てて後ろを向く。
…歴史の先生が笑っていた。

「先生…そういうイタズラは止めてください」
「ゴメンゴメン」

笑顔で可愛く舌を出す。
可愛くないなぁ…

「でもさぁ…ホントお祓いとかしなよ。このままじゃドジっ娘なんてもんじゃすまなくなるよ?」

どうやら私の扱いは「ドジっ娘」らしい…不本意だ。
私自体はしっかり者のつもりなのにな…

「知り合いにそういうのに詳しいヤツがいるが…紹介してもらおうか?」
「いえ、結構です。お祓いじゃあ効果ありませんから」

お祓いじゃあ、祓えない。コレはそういう類のモノだそうだ。
神主や霊能者など、複数の人が似たような事を言った。

コレは、
本当に、
タチの悪いモノだ、と。