家を飛び出し、
母に弁当は?と言われ、
家に引き返し、
また家を飛び出し、
なんとかセーフ。

時刻は一分前。
漣高校と書かれた校門前。

「間に合った…」

と言っても教室まで再び走らなきゃならない…
頑張れ私!



◆ ◇ ◆



チャイムと同時に教室に辿り着く。
息は切れ切れに、髪はボサボサ。

「どうしたのさ、ユキ」
「ゼェ…ゼェ…」
「まさか変質者にでも追い掛けられた?」
「それは…昨日…ゼェ…」
あまりにもしんどくて、呼吸が出来ない…
しばらく無言になるホノカ。
呼吸がマトモになったあたりで再び質問された。

「…で?追い掛けられたのか?」
「今日は違うよ。それは昨日」
「昨日…?追い掛けられたの?」
「追い掛けられたというか…」

昨日の変質者の事をかいつまんで話す。

「うわ…怪し…」
「でしょ?でしょ!?」
「救うとか…危なッ!」
「だよねー?」
「でもユキには似合いすぎ…」
「どーゆー意味よ!?」

笑われていたら先生が到着。
みんな席へ座りだした。

「庵樂ー、荒川ー。二人とも早く席に着けー」

ダルそうに先生が言った。
まったく…やる気の無い先生だよ。