母は続けて話した。
変質者と出会い、
変質者と付き合い、
変質者と結婚する事を決めた。

それで父親(私の祖父)に紹介する時の話に。

「父さんったらホントに真剣でね、私のお父様にも『一生かけて守ります!』って言ったの」
「それで…?」
「お父様ったら泣きながら『本当にお願いします』って言ったわ。頭を深く下げて。娘が変質者に狙われてるのにねぇ?」

例え変質者でも、良識のある人物にとっとと預けないと不安だったのだろう…
可哀想なおじいちゃん…

「…で?なんの話だっけ?」
「変質者な父さんと一緒になって幸せ?って話だよ」

母は、いや、
彼女は幸せそうに明るく微笑んだ。

「もちろん幸せよ」

ニッコリと、
しっかりと、
おっとりした母は言った。

「私は変質者な父さんが大好きよ。もちろんユキ、アナタもね」

少し頬を赤らめて、母は私に言った。
私はもっと赤くなっただろう。
我が母ながら恥ずかしい…

「で、ユキ?」
「な、なに?」
「学校…大丈夫?」
「学校…?」

なんで急に学校の話になるのか理解できずにいると、母は時計を指差した。

「……?」
「時間。大丈夫?」
「あぁぁぁ!?」

本日も遅刻しそうだ…