「アタシは身内と同族だけだよ。それ以外はクズ同然さ」

ハッキリと。
キッパリと。
シッカリと。
それでいて、
マッタリと。

「随分とハッキリと嬉しそうに言うね、ホント」
「正直者だからね」

アハハハと笑い合う。
閑静な喫茶店だが気にしない。

「アンタも身内の不幸だけ救いなよ。アンタ自身の身体の為にもね」
「そうだね…」

不幸を防ぎ、禍を喰らう。
正に言うは易し、だ。

人様の不幸なんてものは、油ぎった中華料理より消化に悪い。
吸収出来ずにワタシの体がやられる事もある。
以前ソレで死にかけたぐらいだった。

「そりゃ身内の不幸は優先的に救いますよ。しかしね、救わせてくれない人もいるしねぇ」
「アハハ、誰のことだか」

零、君のことなんだけどね…

「相変わらず、喰わせてくれる気はないみたいだね?」
「アタシのはデカイんだろ?止めときなって」

愉快に笑う。
確かに彼女のはデカ過ぎる。今まで見てきた不幸の中でも二番目に大きい。
ワタシ自身、コレを喰らうことが出来るか不安だった。
だけど…

「身内は助けたいんだ」
「同じ意見だね。ワタシも助けたい。だからね…」

眩しく笑いながら、
彼女は言った。