そして現在。
きっと彼女は『不幸』にやられただろう。

ま、自業自得。
そう考えよう。

…さて、そろそろ行かないと。
彼女を待たせるとロクな事が無い。

時刻は午後1時。
待ち合わせは午前11時。

さてさて、彼女に会うのが怖いなぁ…



◆ ◇ ◆



「遅い」

ジュルーとコーヒーを音を立てながらすする。
機嫌は斜め45度の様子。

「悪い悪い。お節介を焼いたら、警察に捕まったよ」
「当たり前だ。どーせアンタ、『貴方の不幸が視える』とかなんとか言って、不審者と間違われたんだろ?」

さも見てきたかの様に言う。
全く外れちゃいないから反撃できない…

「だって視えちゃったからね。無視は出来ないさ」
「だーかーら、無視すればいいの。他人を救うなんて考えるだけ無駄」

半呆れながら言われた。
人の不幸なんて自身で乗り越える。ソレが彼女、篠森零のモットーだ。というかポリシー?

「ミコト、アンタは善人過ぎるんだよ。他人は他人、そう割り切らないと」
「フフフ…そういう君こそいい人過ぎると思うけど?」

すると彼女は笑顔で言った。当たり前の事を当たり前に言うかの様に。