そこら周辺を歩いたが男の子は見付からない。

私達は歩き疲れて、日陰でおしりを付いて座った。
夏の陽射しは容赦無く、子供の体力を奪っていった。

小さい迷子…まぁ迷子と言えば小さいモノだけど、名前の知らないその少女は、変な呼吸だった。
病気か何か、異様な呼吸と玉の様な汗。昔の私は気付かないが、今の私から見れば明らかに異常だ。

「みつからないねー」
「見付かりませんね」
「とりあえず戻ろっか?」
「嫌です。私一人ででも探し続けます」

少女の眼は必死だった。
まだ幼い彼女は、どれほどの責任感があるというのか。
譲れぬ何かが少女の胸中にあった。

「それじゃあ私もさがすの手伝うよ!」
「なんで……」
「一人より二人の方が楽しいよ!」

天使の様なバカだ……

私は覚えている。
この話の結論を覚えている。

お祖父ちゃんが、両親が、いつまで経っても戻らぬ私を必死に探していたのを覚えている。

だけど……
私は覚えていない。
この話の途中を覚えていない。

少女はどうなったのか?
背の高い男の子は見付かったのか?

それは今から見る夢の物語で解る。
少女な私と無名な少女の続きが。

腰を上げ、再び歩き出した。