我ながらなんとも安い命だろうか…
いや、少女の笑顔が高価なのかもしれないな。

「バッカみたいだね」
「バカみたいだな」
「有り得ないよ」
「有り得ないのかもな」
「実に安っぽいね」
「安っぽい?」

首だけ動かし、零はワタシを見た。
横顔が夕日に照らされて、実に美しい光景だった。

「イノチ…いや、ミコトの価値は…」
「安っぽい?」
「…高いよ。もったいない。割に合わないよ」

実に高く評価してくれているらしい。
少し…いや、かなり嬉しいな。

だけど……

「君からしてワタシの価値は高いが、万人からすれば決して高くはない。その他大勢、つまりは人生のエキストラ扱いだからね」

悲しい話、人間一人一人なんて、各人生のエキストラ。人生になんの影響も与えぬ存在。
斎藤六の不幸も、少女の不幸も、妹の不幸も、関係無い人生においてはなんら影響与えない。

つまり人の価値なんていうモノは……

「それと同様に、君にとって無価値な少女の笑顔は、ワタシには価値が有る。命以上の価値が」

様々な人生において、

「人の価値はね、屑に等しく、千両に等しく」

ようするに、

「子供のガラクタ、なのさ」

無価値なお宝ってこと。