「たぶん…だけど、食べないよりましだと思うから!」

悠の手の中にあるのど飴をまたあたしが受け取って、袋をあけて中身だけを悠に差し出す。
「結衣さーん…まじで?」
「うん、まじで」

ニッコリ、とゆう効果音がよく似合う笑顔で「ホラ、」と渡すと悠はいやいやながらも口の中にのど飴を入れた。

「ほら~もう食べたから帰ろ」
「はいはい」

急いでコートを着て、学校を出ると予想以上に寒くて身震いがした。
マフラー、してくればよかったな。
そんなことを考えながら両手を口の前にあててハァと息で暖めていると、
ふわ、と首に柔らかい感触がした。

「え?」
「マフラー、俺の。してていいよ」
「なに、急に…いつもそんな紳士じゃないくせに…」
「ありがとうはぁ?」
「…ありがとー」
「どういたしましてー」


付き合いはじめて半年がたつが、まだこうゆうことは恥ずかしい。
なんだか、ムズムズする。

照れて何もいえなくなったあたしに悠は右手を差し出してきた。

「手、繋いで帰る?」
「え、あ、うん」

悠の冷たい右手と、だんだんと熱くなるあたしの左手。

「悠の手冷たすぎだよ」
「心があったかいからかな」
「えーそうかなぁ」
「そうだよ、結衣は逆にあったかいから心が冷たいんだね…」
「何言ってんの!あったかいよ!」

二人で笑いながら帰っているうちに、さっきの恥ずかしさはどこかに消えて、ただただ幸せだった。