野崎浩介の声が少しがっかりして聞こえた。

「そうです。二名です。」

「そうですか、今日の夜7時から8時の間にこちらに、男性の三沢さん移りませんか?いきなりのお願いで、すいません。今日の10時から11時の間なら安全です。北へ800メートルほど行けば、崩れた赤いビルがあります。こちら1人でさみしいです。耐えられません。食料や他のものはそちらとほぼ一緒だと思います。私と2名なら約3年は暮らせるはずです。男の人のほうが気楽でいいでザザ狭いザザ待ってます。防護服は、冷蔵庫の横にザーザー』

無線が切れた。機械トラブルだろう。
美沙子が、ポテトを食べながら呆れ気味言う。

「何いまの?移ってくれって勝手だよ。わけわからない。」
「そうかなあ。気持ち分かるよ。」

俺は、反論する。

10時から11時か。今は9時40だから時間ないなと、思った。