青空と呼ぶには日差しが弱く、茜空と呼ぶには青色が強い。

色で表わすならば黄色が一番近いのかもしれないが、それも大袈裟な表現とも言えてしまうような時間帯の狭間の空。

そんな空の下に広がる野球場は、思わず足を止めてしまう光景へと変貌していた。

目の前に確実に存在しているのだが、あまりにも幻想的のように感じて思わず手を伸ばしてしまいそうだった。


「ふう」


大きくため息をつき、その景色を見渡せるベンチに座り込んだ。

そのため息で嬉しそうな空の表情が一変し、肩を上げて恐る恐るこちらを見つめてきた。


「そんなにびくびくするなよ」


その言葉が少々力強くなってしまい、頭を掻きながら下を向く。

これでは余計に空を怯えさせているだけだ。


「悪い、そんなつもりで言った訳じゃないんだ。

まあ、横に座れよ」


精一杯優しく、自分なりに丁寧に言ったつもりだった。

そんなことをしている自分が何だが可笑しく思えて、ついつい笑いを堪え切れずに吹き出してしまった。


「それでりゃ、遠慮なく」


そんなところに空が言葉を噛むので、余計に笑いが大きくなってしまう。


「な、なんですか、失礼な。

その姿を他の人が見たら、変人扱いされてしまいますよ」


顔を赤らめて精一杯の負け惜しみのような言葉を言う空を見て、久し振りに以前のような二人に戻れた気がして、ひどく懐かしく思えた。

顔を上げてグラウンドを見つめると、とても眩しかったが嫌な気分ではなかった。